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■ 正解
1、4
■ 問題の本質(LDH活性中心での電子・プロトンのやり取り)
乳酸脱水素酵素(LDH)は、
- ピルビン酸のカルボニル炭素に対する求電子性の調整
- NADH からのヒドリド(H⁻)移動
- His 残基によるプロトン授受
- Arg 残基によるカルボキシラートの静電的固定
などで、ピルビン酸 → L-乳酸への還元を触媒している。 各残基の役割を正しく理解しているかを問う問題。
■ 各選択肢の検証
● 1 109番のArgはピルビン酸のカルボニル炭素の求電子性を高めている(正)
Arg(アルギニン)の側鎖グアニジニウム基は正電荷をもち、
- ピルビン酸のカルボニル酸素やカルボキシラートと静電相互作用・水素結合を形成
- 電子を酸素側に引き寄せ、カルボニル炭素の求電子性を高める
これにより、NADH からのヒドリド攻撃が起こりやすくなる。
→ 記述は正しい。
● 2 168番のアミノ酸残基はアスパラギンである(誤)
図中の 168 番残基は、側鎖構造から見てアスパラギン(Asn)ではない。
アスパラギンなら –CH₂–CONH₂ のアミド側鎖だが、 提示構造はそれと一致しない。
→ 誤。
● 3 171番のArgとピルビン酸との主たる相互作用は、分散力によるものである(誤)
Arg171 は側鎖に正電荷をもつグアニジニウム基を持ち、
- ピルビン酸のカルボキシラート(–COO⁻)と静電相互作用・イオン結合を形成
するのが主たる役割である。
「分散力(ファンデルワールス力)」が主ではなく、 静電的相互作用が本質。
→ 誤。
● 4 195番のHisはピルビン酸に対してブレンステッド酸としてはたらく(正)
His195 は、
- NADH からのヒドリド移動で生成するアルコキシ中間体や
- ピルビン酸のカルボニル酸素
に対して、プロトンを与えることで、
- ブレンステッド酸(プロトン供与体)として働き、L-乳酸の –OH 形成に関与する
→ 記述は正しい。
● 5 NADHはピルビン酸に対してプロトン供与体としてはたらく(誤)
NADH は、
- ピリジン環からヒドリドイオン(H⁻)を供与する
のが本質であり、
- 「プロトン(H⁺)供与体」ではない
プロトンの授受は主に His などのアミノ酸残基が担う。
→ 誤。
■ まとめ
- Arg109:正電荷でカルボニル周辺を極性化し、求電子性を高める(1:正)。
- His195:ピルビン酸(および中間体)にプロトンを与えるブレンステッド酸として働く(4:正)。
- Arg171:主相互作用は静電相互作用であり、分散力ではない(3:誤)。
- NADH はヒドリド供与体であり、プロトン供与体ではない(5:誤)。
→ 正解は 1 と 4
