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■ 正解
5
■ 問題の本質(積分値・化学シフト・D₂O添加の影響から官能基を特定する)
与えられた ¹H-NMR スペクトルから、
- 芳香環プロトン(約 8~7 ppm、6~7 ppm)
- エステル由来の –O–CH₂–(約 4.4 ppm)
- –NH₂ などの交換可能プロトン(D₂O 添加で消失)
- 脂肪族 –CH₂–、–CH₃(約 3、2、1 ppm 付近)
を読み取り、選択肢 1~5 のうちどの構造が最も矛盾なく説明できるかを判断する問題である。
■ スペクトルの主な特徴整理
- 芳香環プロトン: 7.9–7.8 ppm(2H)、6.7–6.6 ppm(2H) → 置換パターンの整った 4H の芳香環(パラ置換など)を示唆。
- 4.4–4.3 ppm(2H): –O–CH₂–(エステル側鎖のメチレン)に相当。
- 4.0 ppm 付近(2H、D₂O 添加で消失): 交換可能プロトンとカップリングしたシグナル。 → –NH₂ が存在し、その近傍のシグナルが D₂O で影響を受けることを示唆。
- 2.9–2.6 ppm(2H)、1.1 ppm 付近(4H+6H): 脂肪族 –CH₂–、–CH₃ 群。
これらから、
- 芳香族アミノエステル構造
- パラ置換芳香環
- アミノ基(–NH₂)を有する
と考えられる。
■ 各選択肢の検討
● 1~4 の問題点(概略)
- 1: アミノ基とエステルはあるが、側鎖のメチレン数・置換パターンがスペクトルの積分・シフトと合わない。
- 2・3: ジメチルアミノエチル基などを持ち、N-メチル由来のシグナル(約 2~3 ppm に 6H)が現れるはずだが、スペクトルにはそのような 6H シグナルが明確でない。
- 4: フェノール性 –OH を持つ構造であり、芳香環上の置換パターンや –OH のシグナル位置が今回のスペクトルと合致しにくい。
これらはいずれも、
- 芳香環プロトンの数・パターン
- 脂肪族プロトンの積分値
- D₂O 添加で消失するシグナルの性質
と完全には一致しない。
● 5 が妥当な理由
選択肢 5 は、
- パラ置換芳香環(4H)
- 芳香環上に –NH₂
- エステル –COO– とその先に –CH₂–CH₂–N(…) をもつ脂肪族鎖
という構造であり、
- 芳香環 4H → 7.9–7.8 ppm(2H)+6.7–6.6 ppm(2H)
- エステル –O–CH₂– → 4.4–4.3 ppm(2H)
- アミノ基近傍の –CH₂– → 2.9–2.6 ppm(2H)
- 末端 –CH₃、–CH₂– の組み合わせ → 1.1 ppm 付近の 4H+6H
- –NH₂ → D₂O 添加で影響を受ける 4.0 ppm 付近のシグナル
と矛盾なく対応づけることができる。
→ スペクトルの全体像と最もよく一致するのは 5 である。
■ まとめ
- 芳香環 4H、エステル –O–CH₂–、アミノ基(D₂O で変化)をもつ芳香族アミノエステル構造が必要。
- 選択肢 5 が、積分値・化学シフト・官能基の組み合わせと最も整合的。
→ 正解は 5
