
細菌Aとこれらの染色法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 細菌Aは、ペプチドグリカン層に加えて染色法1での染色に抵抗性の細胞壁成
分を持っている。
2 ペプチドグリカン層が厚い細菌では、クリスタルバイオレットとルゴール液で
つくられた色素がエタノールで除去される。
3 高級脂肪酸やワックスに富む細胞壁成分を持つ細菌は、染色法2で染色されな
い。
4 細菌Aの細胞壁は、融点の低い脂質に富んでおり、加温すると石炭酸フクシン
の透過性が増す。
5 染色法1の陽性細菌は青紫色、染色法2の陽性細菌は赤色に染まる。
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■ 正解
1、5
■ 問題の前提(細菌Aの性質)
細菌Aは、
- グラム染色(染色法1)では明瞭に染まらない
- 抗酸染色(染色法2)では陽性
→ 高級脂肪酸・ワックス(ミコール酸など)に富む抗酸菌と考えられる。
● 1 細菌Aは、ペプチドグリカン層に加えて染色法1での染色に抵抗性の細胞壁成分を持っている(正)
抗酸菌は、
・ペプチドグリカン層
に加えて、
・ミコール酸などの高級脂肪酸・ワックスに富む細胞壁
を持つ。
この脂質リッチな細胞壁が、グラム染色での染色性を低下させる。
→ 記述どおりで正しい。
● 2 ペプチドグリカン層が厚い細菌では、CV-ルゴール色素がエタノールで除去される(誤)
ペプチドグリカン層が厚いグラム陽性菌では、
クリスタルバイオレット+ルゴールでできた色素複合体はエタノールでも保持される。
エタノールで除去されるのは、ペプチドグリカンが薄いグラム陰性菌。
→ 記述は逆で誤り。
● 3 高級脂肪酸やワックスに富む細胞壁成分を持つ細菌は、染色法2で染色されない(誤)
抗酸染色(染色法2)は、まさに高級脂肪酸・ワックスに富む抗酸菌を染めるための方法。
石炭酸フクシンを加温して細胞壁に浸透させ、酸アルコールでも脱色されない菌が陽性となる。
→ 「染色されない」は逆で誤り。
● 4 細菌Aの細胞壁は融点の低い脂質に富み、加温で石炭酸フクシン透過性が増す(誤)
抗酸菌の細胞壁は、
長鎖・高融点の脂肪酸(ミコール酸)やワックスに富む。
加温により石炭酸フクシンの浸透性が高まるのは事実だが、
「融点の低い脂質に富む」という部分が誤り。
→ 全体として誤り。
● 5 染色法1の陽性細菌は青紫色、染色法2の陽性細菌は赤色に染まる(正)
グラム染色(染色法1):
・陽性菌 → クリスタルバイオレットで青紫色
抗酸染色(染色法2):
・抗酸菌(陽性) → 石炭酸フクシンで赤色
・陰性菌 → メチレンブルーで青色
→ 記述どおりで正しい。
■ まとめ
- 細菌A:高級脂肪酸・ワックスに富む抗酸菌 → グラム染色不良・抗酸染色陽性
- 1:抗酸菌はPG+脂質リッチ細胞壁 → 染色法1に抵抗 → 正
- 5:グラム陽性=青紫、抗酸染色陽性=赤 → 正
- 2・3・4は、グラム染色・抗酸染色の基本と逆の内容 → 誤
→ 正解は 1 と 5
