
問157(病態・薬物治療)
この患者に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 SLEはⅠ型アレルギーによって発症した。
2 顔面の紅斑は鼻梁から頬にかけて一側性である。
3 副腎皮質ステロイド性薬の漸減中の症状から中枢神経ループスが疑われる。
4 血液検査から汎血球減少症が疑われる。
5 血液検査からループス腎炎が疑われる。
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■ 正解
3、5
■ 症例のポイント
・37歳女性、SLE と診断済み
・ステロイド療法でいったん病状は安定
・ステロイド漸減中に、
- 上機嫌・多弁
- 急に無表情
- スマホの使い方が分からず困惑し涙ぐむ
・検査:
- 赤血球 400 × 10⁴/μL(ほぼ正常)
- 白血球 5,120/μL(正常範囲)
- 血小板 20.8 × 10⁴/μL(正常範囲)
- 血清クレアチニン 1.84 mg/dL(上昇)
- eGFR 32.8 mL/min/1.73 m²(低下)
- 尿タンパク(2+)、尿潜血(+)
- 抗核抗体(+)
■ 各選択肢の検証
1 SLEはⅠ型アレルギーによって発症した(誤)
SLE は自己免疫疾患であり、主にⅢ型アレルギー(免疫複合体型)やⅡ型アレルギーの機序が関与する。
Ⅰ型アレルギー(即時型、IgE 介在)は花粉症や蕁麻疹などであり、SLE の主病態ではない。
→ 誤り。
2 顔面の紅斑は鼻梁から頬にかけて一側性である(誤)
SLE に特徴的な紅斑は蝶形紅斑であり、
鼻梁から両側頬部に左右対称性に分布する。
「一側性」という記載は SLE の典型像と一致しない。
→ 誤り。
3 副腎皮質ステロイド性薬の漸減中の症状から中枢神経ループスが疑われる(正)
ステロイド漸減中に、
・気分の変動(上機嫌、多弁、無表情)
・認知機能障害(スマホの使い方が分からない)
といった精神症状・高次機能障害が出現している。
SLE では中枢神経症状(中枢神経ループス)が出現しうるため、
これらの症状は中枢神経ループスを強く疑う所見である。
→ 正しい。
4 血液検査から汎血球減少症が疑われる(誤)
汎血球減少症は、赤血球・白血球・血小板のすべてが低下した状態。
本症例では、
・赤血球 400 × 10⁴/μL(ほぼ正常)
・白血球 5,120/μL(正常)
・血小板 20.8 × 10⁴/μL(正常)
であり、汎血球減少は認められない。
→ 誤り。
5 血液検査からループス腎炎が疑われる(正)
本症例では、
・血清クレアチニン 1.84 mg/dL(上昇)
・eGFR 32.8 mL/min/1.73 m²(低下)
・尿タンパク(2+)
・尿潜血(+)
と、明らかに腎機能障害と尿異常を認める。
SLE における腎障害はループス腎炎として重要であり、
この検査所見はループス腎炎を強く疑う。
→ 正しい。
■ まとめ
・中枢神経症状(気分変動・認知機能障害) → 中枢神経ループスを疑う → 3 正
・腎機能障害+蛋白尿+血尿 → ループス腎炎を疑う → 5 正
・SLE はⅢ型アレルギー主体 → 1 誤
・蝶形紅斑は両側性 → 2 誤
・汎血球減少の所見なし → 4 誤
→ 正解は 3 と 5
