第111回薬剤師国家試験 問103 求核置換反応(SN1 / SN2)の進行性と主生成物の妥当性

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■ 正解

2

■ 反応の本質:SN2 が成立する条件を満たしているか

本問は、提示された 5 つの反応式のうち、実際に反応が進行し、かつ主生成物の構造が正しく描かれているものを選ぶ問題。 鍵となるのは、SN1 / SN2 の成立条件(立体障害・求核剤の強さ・基質の構造)である。

特に、一次アルキルハライドはSN2 が最も起こりやすい。 また、求核剤が強く、立体障害が小さいほど SN2 は進行しやすい。

■ 各選択肢の検討

● 1:(CH₃)₂CHCH₂Br + H₂O → (CH₃)₂CHCH₂OH(誤)

H₂O は弱い求核剤であり、一次ハライドに対して SN2 を起こすには力不足。 実際には反応はほとんど進行しない。 したがって、主生成物としてアルコールを得る反応式は誤り。

● 2:(CH₃)₂CHCH₂Br + I⁻ → (CH₃)₂CHCH₂I(正)

I⁻ は非常に強い求核剤であり、一次アルキルブロミドは SN2 に最適。 SN2 では求核剤が背面攻撃し、Br⁻ が置換される。 生成物としてアルキルヨウ化物(CH₃)₂CHCH₂Iが得られるのは正しい。

また、I⁻ は Br⁻ よりも良い脱離基であり、 ハロゲン交換反応(Finkelstein 反応)として教科書的に成立する反応である。 よってこの反応式は正しい。

● 3:(CH₃)₃CBr + CH₃O⁻ → (CH₃)₃COCH₃(誤)

(CH₃)₃CBr は第三級ハライドであり、SN2 は立体障害で進行しない。 SN1 は起こり得るが、CH₃O⁻ は強塩基であり、 E2 脱離(アルケン生成)が主反応となる。 提示されたエーテル生成物は得られないため誤り。

● 4:CH₃CH₂CH₂CH₂Br + CH₃OH → CH₃CH₂CH₂CH₂OCH₃(誤)

CH₃OH は弱い求核剤であり、一次ハライドに対して SN2 を起こすには不十分。 反応はほとんど進行しない。 したがって、エーテル生成物を主生成物とするのは誤り。

● 5:(CH₃)₂CHCH₂Br + (CH₃)₃CO⁻ → (CH₃)₂CHCH₂OC(CH₃)₃(誤)

( CH₃ )₃CO⁻(tert-BuO⁻)は強塩基かつ非常に立体障害が大きい。 一次ハライドに対して SN2 を起こすには大きすぎるため、 主反応はE2 脱離(アルケン生成)となる。 提示されたエーテルは主生成物にはならない。

■ まとめ

  • 一次ハライド + 強求核剤(I⁻)→ SN2 が最も成立しやすい
  • 弱い求核剤(H₂O、CH₃OH)では反応は進行しない
  • 第三級ハライドは SN2 不可、強塩基存在下では E2 が主反応
  • よって、実際に進行し、生成物が正しいのは2

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