
問158(薬理)
SLE及びその合併症の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのは
どれか。2つ選べ。
1 シクロホスファミドは、肝臓で代謝されて活性体となり、DNAをアルキル化
して、DNAの複製を阻害する。
2 ミゾリビンは、ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害して、チミジル酸の合成を抑制す
る。
3 タクロリムスは、活性化T細胞核内因子(NFAT)のリン酸化を阻害して、
IL-2の産生を抑制する。
4 ミコフェノール酸モフェチルは、体内でミコフェノール酸に加水分解され、プ
リン塩基の合成を抑制する。
5 ベリムマブは、Bリンパ球細胞膜のCD20に結合して、Bリンパ球の増殖を抑
制する。
解答・解説を見る
■ 正解
1、4
■ 各選択肢の検証
1 シクロホスファミドは、肝臓で代謝されて活性体となり、DNAをアルキル化して、DNAの複製を阻害する(正)
シクロホスファミドはアルキル化薬であり、
・肝臓で代謝されて活性代謝物(ホスファミドマスタードなど)となる。
・DNAをアルキル化し、架橋形成によりDNA複製を阻害する。
SLEの重症例(ループス腎炎など)にも用いられる。
→ 正しい。
2 ミゾリビンは、ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害してチミジル酸合成を抑制する(誤)
ミゾリビンは、
・イノシン一リン酸脱水素酵素などを阻害し、
・プリン合成を抑制する免疫抑制薬。
ジヒドロ葉酸還元酵素阻害はメトトレキサートの作用であり、記述は誤り。
→ 誤り。
3 タクロリムスは、NFATのリン酸化を阻害してIL-2産生を抑制する(誤)
タクロリムスは、
・FKBPと結合し、カルシニューリンを阻害する。
・その結果、NFATの脱リン酸化が阻害され、核内移行が抑制される。
NFATの「リン酸化」を阻害するのではなく、「脱リン酸化」を阻害する点が誤り。
→ 誤り。
4 ミコフェノール酸モフェチルは、体内でミコフェノール酸に加水分解され、プリン塩基の合成を抑制する(正)
ミコフェノール酸モフェチルはプロドラッグであり、
・体内でミコフェノール酸に変換される。
・イノシン一リン酸脱水素酵素を阻害し、プリン合成を抑制して免疫抑制作用を示す。
SLEの治療にも用いられる。
→ 正しい。
5 ベリムマブは、B細胞膜のCD20に結合してB細胞の増殖を抑制する(誤)
ベリムマブは、
・B細胞活性化因子(BAFF, BLyS)に対するヒト型モノクローナル抗体であり、
・BAFFを中和してB細胞の生存・分化を抑制する。
CD20に結合するのはリツキシマブであり、記述は誤り。
→ 誤り。
■ まとめ
・シクロホスファミド → 代謝活性化されDNAアルキル化 → 1 正
・ミコフェノール酸モフェチル → ミコフェノール酸となりプリン合成阻害 → 4 正
・ミゾリビンはプリン合成阻害でありDHFR阻害ではない → 2 誤
・タクロリムスはNFATの脱リン酸化を阻害 → 3 誤
・ベリムマブはBAFF中和抗体でありCD20標的ではない → 5 誤
→ 正解は 1 と 4
