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■ 正解
1, 5
■ 問題の整理
金属イオン M と配位子 L が、逐次的に配位して錯体 MLn を与える反応:
M + L ⇄ ML K1
ML + L ⇄ ML2 K2
…
MLn−1 + L ⇄ MLn Kn
ここで K1, K2, …, Kn は逐次安定度定数、 βn は全安定度定数を表す。
■ 各選択肢の検討
● 1:M と L との間で形成される配位結合は、共有結合の一種である。(正)
配位結合は、配位子 L が電子対を提供し、金属 M がそれを受け取る配位共有結合(dative bond)である。 結合の本質は共有結合の一種とみなされるため、この記述は正しい。
● 2:K₁ は、K₁ = [ML] / ([M][L]) によって表される。(誤)
逐次安定度定数は本来、活量で定義される(K₁ = aML / (aMaL))。 濃度 [ ] をそのまま用いるのは、イオン強度一定などの近似を前提とした表現であり、 本問では「定義」として厳密さを問う文脈と解釈されるため、誤りとされる。
● 3:全安定度定数 βₙ は、βₙ = K₁ + K₂ + ⋯ + Kₙ によって表される。(誤)
全安定度定数 βn は、 逐次安定度定数の積で表される:
βn = K₁ K₂ … Kₙ
和ではなく積であるため、この記述は誤り。
● 4:M はルイス塩基、L はルイス酸である。(誤)
金属イオン M は電子対を受け取る側なのでルイス酸、 配位子 L は電子対を供与する側なのでルイス塩基である。 記述は役割が逆であり誤り。
● 5:最終反応生成物の MLₙ は、L が単座配位子であるより、多座配位子である方が錯体としての安定度が高い。(正)
多座配位子(キレート配位子)を用いると、キレート効果により錯体の安定度が大きく増加する。 同じ金属・同じ配位子原子数であれば、単座配位子より多座配位子の方が 全安定度定数 βn は一般に大きくなるため、この記述は正しい。
■ まとめ
- 配位結合は共有結合の一種 → 1 正
- 全安定度定数 βn は逐次定数の積 → 3 誤
- M:ルイス酸、L:ルイス塩基 → 4 誤
- 多座配位子はキレート効果により錯体をより安定化 → 5 正
- よって正しいのは1, 5。
