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■ 正解
2、3
■ 問題の本質(E2反応の特徴と生成アルケンの安定性)
(S)-2-ブロモペンタンに対するナトリウムエトキシド/エタノール条件は、典型的なE2一段階脱離反応の条件であり、
- 中間体カルボカチオンは経由しない
- より置換度の高いアルケン(ザイツェフ則)が優先して生成する
- 脱離速度は塩基濃度や脱離基の性質に依存する
という点を押さえる問題。
■ 各選択肢の検証
● 1 カルボカチオン中間体を経由する反応である(誤)
カルボカチオン中間体を経由するのはE1反応であり、
- 弱塩基・極性プロトン性溶媒・第3級ハロゲン化物などで起こりやすい
本問は強塩基(NaOEt)存在下の E2 反応であり、
- 脱離とプロトン引き抜きが同時に起こる一段階機構
- カルボカチオン中間体は生じない
→ 誤。
● 2 AとBをあわせた収率は、Cの収率より大きい(正)
(S)-2-ブロモペンタンの E2 では、
- A・B:2-ペンテン(内部アルケン、cis/trans 異性体)
- C:1-ペンテン(末端アルケン)
となる。
一般に、
- 内部アルケン(より置換度が高い)>末端アルケンの順に安定
- ザイツェフ則により、より置換度の高いアルケンが優先生成
したがって、2-ペンテン(A+B)の合計収率が、1-ペンテン(C)より大きくなる。
→ 正しい。
● 3 臭素原子を塩素原子に置換した出発物質を用いると、脱離反応が遅くなる(正)
E2 反応の速度は、
- 脱離基の能力(Leaving group ability)
にも依存する。
一般に、
- Br⁻ は Cl⁻ より良い脱離基(結合が弱く、陰イオンとして安定)
そのため、
- –Br → –Cl に変えると、C–X 結合が強くなり、脱離しにくくなる
- → E2 反応は遅くなる
→ 記述は正しい。
● 4 ナトリウムエトキシドの濃度を変えても、反応速度は変化しない(誤)
E2 反応の速度式は:
\text{rate} = k[\text{基質}][\text{塩基}]
のように、
- 基質濃度
- 塩基濃度
の両方に一次依存する。
したがって、ナトリウムエトキシド濃度を変えれば、反応速度も変化する。
→ 「変化しない」は誤。
● 5 配座異性体I〜IIIのうち、IIIからAが生成する(誤)
E2 反応では、
- 脱離基(Br)と脱離される H が反対向き(アンチペリプラナー)に並んだ配座から脱離が起こる
Newman 投影式 I〜III のうち、どの配座がどのアルケン(A/B/C)に対応するかは、
- Br と H の位置関係
- 生成する二重結合の置換パターン
から決まるが、III は A 生成に対応するアンチ配座ではない。
→ 記述は誤。
■ まとめ
- E2 は一段階機構でカルボカチオンを経由しない(1:誤)
- より置換度の高い 2-ペンテン(A+B)が 1-ペンテン(C)より多く生成(2:正)
- Br → Cl で脱離基能力低下 → 反応は遅くなる(3:正)
- E2 速度は塩基濃度にも依存(4:誤)
- アンチペリプラナー条件からの生成アルケンの対応より、III→A は誤(5:誤)
→ 正解は 2 と 3