問91 分子間相互作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 クーロン力は電荷間距離の₂乗に反比例する。
2 分散力は分子間にはたらく反発力である。
3 水中における界面活性剤のミセル形成はイオン結合による。
4 疎水性相互作用は水溶液中のタンパク質の高次構造の形成及び安定化に寄与し
ている。
5 核酸塩基対は配位結合により形成される。
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■ 正解
1、4
■ 問題の本質(分子間相互作用の体系的理解)
分子間相互作用は、薬物の溶解性、受容体との結合、タンパク質の高次構造、ミセル形成、核酸塩基対形成など、薬学の基礎から応用まで広く関与する。
国家試験で特に区別すべき相互作用:
- クーロン力(静電相互作用)
- ファンデルワールス力(分散力)
- 疎水性相互作用
- 水素結合
- 共有結合・配位結合(分子間相互作用ではなく結合)
■ 各選択肢の正誤
● 1 クーロン力は電荷間距離の2乗に反比例する(正)
クーロン力は、電荷をもつ粒子間に働く静電的な引力または反発力であり、分子間相互作用の中で最も強い部類に入る。
クーロンの法則は次式で表される:
F = k \frac{q_1 q_2}{r^2}
ここで、q₁・q₂ は電荷、r は電荷間距離である。 → 距離 r の2乗に反比例するため、記述は正しい。
● 2 分散力は分子間にはたらく反発力である(誤)
分散力(ロンドン分散力)は、電子の瞬間的偏りによる弱い引力である。
特徴:
- すべての分子に働く(極性の有無に関係なし)
- 分子量が大きいほど強くなる
- ファンデルワールス力の一種
→ 「反発力」としているため誤。
● 3 水中における界面活性剤のミセル形成はイオン結合による(誤)
ミセル形成の本質は、界面活性剤の疎水基が水を避けて集合する疎水性相互作用である。
水中では:
- 疎水基が集まることで水分子の秩序が減少し、エントロピーが増大
- これがミセル形成の駆動力となる
→ イオン結合ではないため誤。
● 4 疎水性相互作用は水溶液中のタンパク質の高次構造の形成及び安定化に寄与している(正)
タンパク質の第三構造・第四構造では、疎水性側鎖が内部に集まり、親水性側鎖が外側に向く。
これにより:
- 水との接触が減り、エネルギー的に安定化
- 立体構造の形成に大きく寄与
→ 記述は正しい。
● 5 核酸塩基対は配位結合により形成される(誤)
DNA の塩基対(A–T、G–C)は水素結合によって形成される。
例:
- A–T:2本の水素結合
- G–C:3本の水素結合
→ 配位結合ではないため誤。
■ まとめ
- クーロン力:距離の2乗に反比例(1:正)
- 分散力:弱い引力(2:誤)
- ミセル形成:疎水性相互作用(3:誤)
- タンパク質高次構造:疎水性相互作用が重要(4:正)
- 塩基対:水素結合(5:誤)
→ 正解は 1 と 4
