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■ 正解
5:I = 1/2 Σ (ci × zi2)
■ 解説
イオン強度 I は、溶液中に存在するすべてのイオンについて、「濃度」と「電荷の大きさ」をまとめて評価した指標である。
単にイオンの濃度だけを見るのではなく、電荷の大きさ(z)を二乗して重みづけしている点が重要で、これにより 2価・3価イオンの影響が強く反映される。
イオン強度は、Debye–Hückel の式などで用いられる基礎量であり、
活量係数(γ)、溶解度、酸解離平衡、緩衝液の pH のずれ、沈殿の溶解・生成など、多くの薬剤学的現象に関わる。
定義式:
I = 1/2 Σ (ci × zi2)
この式の各項には、次のような意味がある。
- ci:イオン種 i のモル濃度
濃度が高いイオンほど、溶液中の電気的環境に強く影響する。 - zi2:電荷の二乗
電荷の大きさが 2倍になると、寄与は 4倍になる。
例えば、Na+ と Ca2+ が同じ濃度で存在するとき、Ca2+ の方がイオン強度への寄与は 4倍になる。 - 1/2:陽イオン・陰イオンの寄与の調整
電解質は、陽イオンと陰イオンが対になって存在する。
それぞれを単純に足し合わせると「対」を二重に数えることになるため、全体を 1/2 にして調整している。
■ 簡単な具体例
例えば、0.10 mol/L NaCl 水溶液を考える。
NaCl → Na+(z = +1)、Cl–(z = -1)に電離するとすると、
- c(Na+) = 0.10、z = +1 → c × z² = 0.10 × 1² = 0.10
- c(Cl–) = 0.10、z = -1 → c × z² = 0.10 × 1² = 0.10
したがって、
Σ (ci zi2) = 0.10 + 0.10 = 0.20
I = 1/2 × 0.20 = 0.10 となる。
同じ 0.10 mol/L でも、CaCl2 のような 2価イオンを含む電解質では、
Ca2+ の z² = 4 が効いて、イオン強度はより大きくなる。
このように、イオン強度は「濃度」と「電荷の大きさ」を同時に反映した量である。
■ 各選択肢の検討
● 1:I = Σ (ci × zi)(誤)
電荷が二乗されておらず、正負の電荷が打ち消し合ってしまう。
これでは「電場の強さ」を表せず、イオン強度の定義と合わない。
● 2:I = Σ (ci2 × zi)(誤)
濃度を二乗する理論的根拠はない。
濃度は一次、電荷が二乗という形が理論式と一致する。
● 3:I = Σ (ci × zi2)(誤)
電荷の二乗は正しいが、1/2 が欠けている。
陽イオン・陰イオンの寄与を二重に数えてしまう形になる。
● 4:I = 1/2 Σ (ci2 × zi)(誤)
濃度が二乗されているため誤り。
濃度は一次で扱う。
● 5:I = 1/2 Σ (ci × zi2)(正)
イオン強度の定義式そのもの。
濃度は一次、電荷は二乗、さらに 1/2 によってイオン対の寄与を適切に評価している。
■ まとめ
- イオン強度は「濃度 × 電荷²」を 1/2 でまとめた量である。
- 電荷が大きいイオンほど寄与が大きく、2価イオンは1価イオンの4倍寄与する。
- 活量係数や溶解度、緩衝液の pH など、多くの薬剤学的現象の基礎になる概念である。
