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■ 正解
4, 5
■ シスプラチンの基本構造と抗がん作用のポイント
シスプラチンはcis-[PtCl2(NH3)2]で、Pt(II)中心に2つの塩化物イオン(Cl−)と2つのアンモニア(NH3)が「シス配置」で配位した錯体である。
抗がん作用は、Cl−が水分子に置換されて「活性錯体」となり、DNAのプリン塩基(主にグアニン)の N7 位に結合して架橋を形成することで発揮される。
■ 各選択肢の検討
● 1:4つの配位子は、四面体の頂点の方向に配置している。(誤)
Pt(II)錯体であるシスプラチンは正方平面型配位構造をとる。
四面体型ではなく、Pt を中心に 4 つの配位子が同一平面上に並ぶ構造であるため、この記述は誤り。
● 2:シスプラチンの異性体であるAは、シスプラチンよりも強い抗がん作用を示す。(誤)
A はトランスプラチン(trans-[PtCl2(NH3)2])に相当し、
DNA 上で 1,2-インラストランド架橋(隣接する塩基間の架橋)を形成しにくく、抗腫瘍活性はほとんどないことが知られている。
したがって、「シスプラチンよりも強い抗がん作用」は誤り。
● 3:2種類の配位子のうち、アンモニアが解離して抗がん作用を示す活性錯体となる。(誤)
シスプラチンが細胞内で活性化される際に解離するのは塩化物イオン(Cl−)であり、
アンモニアは配位したまま残る。
Cl−が水分子に置換されて[Pt(NH3)2Cl(H2O)]+などの「アクア錯体」が生成し、これが DNA に結合する。
アンモニアが解離するという記述は誤り。
● 4:配位子が解離しやすいのは、血中よりも細胞内である。(正)
血中では Cl−濃度が比較的高く、シスプラチンの Cl−配位子は置換されにくい。
一方、細胞内では Cl−濃度が低く、Cl−が水分子に置換される「アクア化」が進みやすい。
このアクア化により活性錯体が生成し、DNA に結合して抗がん作用を示すため、
「配位子が解離しやすいのは血中より細胞内」が正しい。
● 5:活性錯体は、主にアの窒素に結合して抗がん作用を示す。(正)
シスプラチンの活性錯体は、DNA のプリン塩基(特にグアニン)のN7 位の窒素に選択的に結合し、
1,2-インラストランド架橋(GpG、ApG など)を形成する。
問題図中の「ア」で示された窒素は、このN7 位
したがって、この記述は正しい。
■ まとめ
- シスプラチンは正方平面型、トランス異性体はほぼ無効。
- 細胞内の低 Cl−環境でCl−が水に置換されて活性錯体が生成。
- 活性錯体は DNA プリン塩基のN7 位(図中ア)に結合し、架橋形成で抗がん作用。
- よって正しいのは4, 5。