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■ 正解
1、2
■ アセチル CoA 生合成に関する基本事項
- ATP のリン酸基は強い負電荷を持ち、Mg²⁺ がこれを中和して反応性を高める。
- アセチル CoA のアセチル基は、酢酸(アセテート)由来である。
- チオエステル(R–C(=O)–S–R)は、通常のエステル(R–C(=O)–O–R)より求電子性が高い。
- リン原子は五価四配位だが、通常はキラル中心にはならない。
- CoA–SH のチオール基は求核剤として働くが、アセチル CoA 生合成では SN2 ではなく、アシル基転移反応が中心となる。
■ 各選択肢の解説
● 1:構造式アの Mg²⁺ は、リン酸部位の陰イオンを電気的に中和し、リン原子の求電子性を高めている。(正)
ATP のリン酸基は強い負電荷を持ち、反応しにくい。
Mg²⁺ がこれを部分的に中和することで、リン原子がより求電子的になり、酵素反応が進行しやすくなる。
生化学で頻出の基本原理であり、正しい記述。
● 2:矢印イで示した酸素原子は、酢酸イオンに由来する。(正)
アセチル CoA のアセチル基(CH₃–CO–)は、酢酸(アセテート)由来である。
図中の矢印イの酸素は、このアセチル基のカルボニルに含まれる酸素であり、酢酸に由来する。
したがって正しい。
● 3:アセチル CoA のカルボニル炭素は、硫黄原子を酸素原子に置換したものに比べて求電子性が低い。(誤)
チオエステル(C=O–S–R)は、通常のエステル(C=O–O–R)より求電子性が高い。
理由は、S が O より電気陰性度が低く、C=O の π電子が酸素側に偏りやすくなるため。
よって「求電子性が低い」という記述は誤り。
● 4:矢印エで示したリン原子は、5価4配位構造をもつキラル中心である。(誤)
リン原子は五価四配位をとるが、通常は立体配置が固定されず、キラル中心とはみなされない。
リン酸基の反応性は高く、置換基の入れ替わりが速いため、キラリティは保持されない。
したがってこの記述は誤り。
● 5:CoA–SH のチオール基オは求核剤として作用し、SN2反応によりアセチル化される。(誤)
CoA–SH のチオール基が求核剤として働く点は正しいが、アセチル CoA 生合成はSN2 ではなくアシル基転移反応である。
SN2 のような典型的な置換反応ではなく、酵素が媒介するアシル基の転移で進行するため、この記述は不正確。
■ まとめ
- 1:Mg²⁺ によるリン酸基の電荷中和 → 正しい。
- 2:アセチル基は酢酸由来 → 正しい。
- 3:チオエステルは通常のエステルより求電子性が高い → 記述は誤り。
- 4:リン原子はキラル中心ではない → 誤り。
- 5:アセチル化は SN2 ではなくアシル基転移 → 誤り。
