第110回薬剤師国家試験 問108 アラニン誘導体Aの¹H NMR解析

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■ 正解

2、4

■ NMR解析の基本事項

  • 重水(D₂O)を加えると、交換可能なプロトン(NH・OH)のシグナルは消失する。
  • 四重線(quartet)は、隣接する CH₃(3H)とのn+1 則(3+1=4)で生じる。
  • 芳香環のプロトンは一般に低磁場(7–8 ppm)に現れる。
  • スピン–スピン結合は、空間ではなく結合を介して伝わる(2〜3結合が典型)。

■ 各選択肢の解説

● 1:ピーク a、b、c のプロトン数の合計は 6 である。(誤)

a・b・c は芳香環のプロトンに対応するが、芳香環のプロトン数は 5H(または4H)であり、6H にはならない。
したがって誤り。

● 2:ピーク e に対応するプロトンはエであり、重水を加えると四重線となる。(正)

エはアラニンのα-CH(CH)に相当し、隣に CH₃(オ)があるため、n+1 則で 3+1=4 → quartet となる。
さらに、エのプロトンはNH と結合しているため D₂O で交換され、シグナルが変化する。
問題文にも「f が D₂O で消失」とあるが、エも同様に交換の影響を受ける。
したがって正しい。

● 3:ピーク g に対応するプロトンはカとキである。(誤)

g は芳香環のプロトン領域(7–8 ppm)であり、カ・キ(脂肪族 CH₂/CH)はこの領域には出ない
したがって誤り。

● 4:アのプロトンとカップリングしているのは、ピーク d に対応するプロトンである。(正)

アはベンジル位 CH₂であり、隣接するのはCHO(イ)CH₂(d)
特に d の CH₂ とは 3結合でつながっており、典型的なスピン–スピン結合が生じる。
したがって正しい。

● 5:イのプロトンのピークは、コのプロトンのシグナルより高磁場側にある。(誤)

イはアルデヒド(CHO)であり、9–10 ppm の非常に低磁場に現れる。
一方、コは CH₃ であり、1 ppm 付近の高磁場に現れる。
よって「イが高磁場側」は逆であり誤り。

■ まとめ

  • 2:エは CH–CH₃ の CH → quartet、D₂O で変化 → 正しい。
  • 4:ア(ベンジル CH₂)は d の CH₂ とカップリング → 正しい。
  • 1・3・5 は、プロトン数・化学シフト・結合関係の理解が誤っている。

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