第110回薬剤師国家試験 問239 NDMA検出メトホルミン服用患者への説明

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■ 正解

2、5

■ 前提:NDMAと今回のリスク評価

・NDMAは発がん性を有するニトロソアミンで、基本的には「しきい値なし」の遺伝毒性発がん物質として扱われる。
・実質安全量:体重50kg成人が0.1 μg/日を70年間摂取したとき、発がんリスクが1.0 × 10−5増加するレベル。
・前問の計算より、この患者の10年間の服用によるリスク増加は約 1.7 × 10−6と、実質安全量に対応するリスク(1.0 × 10−5)よりも小さい。


● 1:NDMAによるがん発症には閾値がある(誤)

NDMAは遺伝毒性発がん物質として扱われ、 「これ以下なら絶対安全」という閾値はない前提でリスク評価される。

→ 「閾値がある」と説明するのは誤り。


● 2:摂取したNDMA量は実質安全量を下回っている(正と判断される理由)

厳密には、1日あたりのNDMA量は 0.12 μg/日 と、定義上の 0.1 μg/日 よりやや多い。
しかし、服用期間は70年ではなく10年であり、

・実質安全量に対応するリスク:1.0 × 10−5
・本症例の推定リスク:1.7 × 10−6

と、リスクとしては実質安全量相当より十分低い水準にとどまる。

試験問題としては、「実質安全量を超えるようなリスクではない」と患者に安心材料として説明する趣旨であり、
選択肢2は適切な説明と判断される。


● 3:他の同種同効薬に変更する必要がある(誤)

問題文に「リスクは極めて低く、重篤な健康被害の報告なし」と明記されている。
この状況で、直ちに薬剤変更が必須とはいえない

→ 医師の判断なく一律に変更を勧めるのは不適切。


● 4:血糖値が落ち着いていれば服用を止め、次回受診時に報告(誤)

糖尿病治療薬を自己判断で中止させるのは危険。
血糖コントロール悪化や合併症リスクが増大する。

→ 中止や変更は必ず医師の指示のもとで行うべきであり、この説明は不適切。


● 5:必要に応じて、発がんリスク情報を医師に提供できる(正)

薬剤師は、前問で計算したような定量的リスク評価を含め、
NDMA曝露と発がんリスクに関する情報を整理し、

・患者への説明
・医師への情報提供

を行う立場にある。

→ 「必要に応じて医師に情報提供できる」と伝えるのは、非常に適切な姿勢


■ まとめ

・NDMAは「閾値なし」の遺伝毒性発がん物質 → 1は誤り。
・今回の曝露によるリスクは、実質安全量相当より十分低い水準 → 2は妥当。
・自己中止や一律な薬剤変更を促すのは不適切 → 3・4は誤り。
・薬剤師はリスク情報を整理し、医師へ提供できる立場 → 5は適切。

→ 正解は2 と 5

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